新車であれ中古車であれ、購入したバイクが納車されたらすぐにでも走り出したくなりますよね!
もちろんバイク屋さんに納車前整備をしてもらっているなら、基本的な整備は全て済んでいるはずなのでそのまま走り出して構いません。
しかし走り出したら気にすべき調整部分が5つあります。
どれも納車された時点でどうしようもなく悪いという事はないと思いますが、実走しなければわかりにくい部分なので、実走しながら具合を確かめる必要があります。
整備に自信がない方は、購入後しばらく走ってみてからバイク屋さんに調整をお願いしましょう。
【左右のレバーの角度調整】
ハンドルの左右にあるブレーキレバーとクラッチレバーの角度を調整します。
レバーの角度が自分に合っていないと手首に余計な負担がかかって疲れてしまいます。
上の画像はブレーキマスターのホルダーの部分です。
〇の六角ボルトを緩めるとホルダーが緩んで回転させることができます。
ホルダーを回転させてレバーの角度を調整します。
バイクに乗ってレバーを操作したときに、手首が疲れにくい角度を探して調整しましょう。
好みは人それぞれですが、なるべく手首がまっすぐになる角度にすると疲れにくいと思います。
レバーの角度が決まったらホルダーの六角ボルトを締めてください。
※ボルトの締め付けが弱いと走行中にブレーキレバーが動いて大変危険です。ボルトはしっかり締めてください。ただしあまり強い力で締めすぎるとネジが破損するので気を付けてください。
クラッチ側も同じ構造になっているので同様に調整します。
【クラッチレバーのあそび調整】
クラッチレバーはハンドルの左側にあるレバーです。
ここを調整する事でクラッチの繋がる(切れる)位置を変更することができます。
そしてクラッチの繋がる(切れる)位置を変更することで、半クラッチの操作性が大きく変わります。
↓ クラッチの遊び調整については別記事に詳しく書きましたのでリンク先を読んでください。
【ブレーキレバーとペダルの調整】
ブレーキレバーには遊びを調整するアジャスターが付いているものがあります。
ここを調整することでブレーキレバーの遊び、つまりブレーキレバーを引いた時にブレーキが実際に効き始める作動位置を変更する事ができます。
ブレーキレバーの作動位置が遠いと、ブレーキをかける時に指をピンと先まで伸ばさなくてはならなくなります。
この指をピンと伸ばす状態自体が疲れるわけですが、スポーツ走行時はコントロール性にも悪影響を与えます。
特に回転合わせ(ブリッピング)が困難になるので、サーキットに行く場合は要注意です。
反対に作動位置が近すぎてもコントロール性が悪くなります。
指二本掛けで引いた時に他の指を挟む、レバーがハンドルグリップに接触するなどの状態は当然NGなので気を付けましょう。
人によって指の長さが違うし、レバーストロークの幅もバイクによって違います。
実際に操作をしながら一番扱いやすい位置を探してください。
↑ 調整機能付きブレーキレバー(ホンダ純正)。
アジャスターダイヤルを回すことでレバーのあそびを調整できます。
↑ 純正のブレーキレバーには調整機能がついていないものもあるので、その場合は調整機能付きの社外品に交換するしかありません。
画像はアクティブ製のレバーです。
※CB250Rの純正ブレーキには調整機能はついていません。
ブレーキペダルは右足のつま先にあたるペダルです。
↑ ブレーキペダルとアジャスター(調整機能)です。
ブレーキペダルの位置が高すぎると足首の角度がきつくなってしまうし、逆に位置が低すぎるとペダルを踏みにくくなったり、カーブでペダルを踏んだ時に路面に擦ってしまったりします。
(1)アジャスターのロックナットをオープンレンチで緩めます。
(2)調整ナットを回すとブレーキペダルの初期の位置が上下に動くので、自分にとって操作のしやすい位置に合わせましょう。
(3)ペダルの位置が決まったらロックナットを締めます。
【ミラーの角度調整】
左右のミラーの角度調整です。
バイク屋さんで納車されたらミラーがあさっての方向を向いていた、という事はないと思いますが、身長や運転姿勢は人それぞれなのであなたにとって最適な角度はバイク屋さんにはわかりません。
自分で実走しながら確かめましょう。
ミラーのヘッドの部分を手でグリグリ動かす事で角度を変えられますが、それでも足りない場合はオープンレンチ(スパナ)で付け根のボルトを緩める事で調整できます。
私の個人的な基準ですが、走っている時に自分の左右の二の腕がミラー面積の30%程度写っているくらいが丁度良いと思います。
↑ ボルトを黄色の矢印の方向に回して緩めたらミラー本体を回転させて、位置が決まったら緑の矢印の方向に回して締め込みます。
※写真は社外ミラーを取り付けていますが、純正でも同じです。
※車種によっては緩める方向と締める方向が逆になっている「逆ネジ」の場合もあります。
【リアサスペンションのプリロード調整】
リアサスペンションとはシートの下についているバネのついた部品の事です。
プリロードというのはバネに予め与えておく初期荷重の事です。
ほぼすべてのバイクのリアサスペンションにはプリロード調整機能が備わっています。
いろいろと奥の深い働きのある部位ですが、今回は足つきを少し変更したり、体重や重量に合わせて調整する部品くらいに考えてもらって結構です。
プリロードの初期設定は体重が65kgくらいの人が乗る事を想定されている場合が多いので、体重が重い方や二人乗りをする場合などは車体の姿勢が偏ってしまい操縦安定性に悪影響を与える事があります。
そのような場合はプリロードをかける事で車体の姿勢と操縦安定性を補正する事ができます。
また、反対に体重が軽い方はプリロードを抜いてみると良いでしょう。
プリロードを抜くと足つきも少しだけ良くなります。
※実際の初期設定の想定体重は車種によって異なりますので、知りたい場合はバイク屋さんに尋ねてみましょう。バイク屋さんでわからない場合はバイクメーカーに問い合わせると回答してもらえるかもしれません。
画像はプリロードをかける方向でレンチを引っかけたところです。
黄色い矢印が現在のプリロード位置で、緑の矢印が最強の位置です。
レンチを下に押し下げてリアサスを回すと、緑の矢印の段が黄色い矢印の突起まで移動します。
※画像のCB250Rはクリック式のプリロード調整です。無段階調整式はまた別の方法になります。
「サグ出し」というサスペンションの沈み込み量を測定して決める方法もあります。
興味のある方は下のリンク先の記事を参考にしてください。
次回は「バイクの慣らし運転の理由と方法」について書く予定です。