ホンダ「CB250R」を10倍たのしむブログ

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【バイクのハンドルとライディングの深い関係】種類別に見る長所と短所

バイクのハンドルの種類は大きく分けてバーハンドルタイプとセパレートハンドルタイプがあり、グリップの位置の高さや幅の広さもそれぞれです。

これらは一つには外観の違いということもあるのですが、ライディングに与える影響も大きなものなのです。

では、具体的にどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

今回はハンドルの位置とライディングの関係について掘り下げていきます。

 

【目次】

 

・ハンドル形状とハンドルの位置

バイクのハンドルは大きくわけて、バーハンドル(バーハン)セパレートハンドル(セパハンに大別されます。

バーハンドルはハンドルバーが一本の棒になっているものでネイキッドやオフロード、クルーザーに多く使われるハンドルです。

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バーハンドル 一本のハンドルバーがトップブリッジ中央に取り付けられている。

 

セパレートハンドルは左右のハンドルが分割されて二本の棒になっており、スーパースポーツやフルカウルツアラーに使われています。

同じセパハンでも、スーパースポーツはハンドルバーがトップブリッジの下に取り付けられていて低い位置にあるのに対し、フルカウルツアラーの場合はトップブリッジの上に取り付けられていて高い位置にあるものが多いです。

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スーパースポーツ系のセパレートハンドル トップブリッジ下のFフォークに取り付けられている。

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↑ フルカウルツアラー系のセパレートハンドルの取り付け位置はトップブリッジの上。

一般的にセパハン=位置が低い、バーハン=位置が高い、というイメージですが、本格的な大型ツアラーになるとセパハンでもかなり高い位置にあるものも存在するので一概にはいえません。

セパハンでもハンドル位置の高いタイプのものは、ライディングの特性的にはバーハンドルに近いものになります。

 

バーハンドルがライディングに与える影響は?

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・長時間運転しても疲れにくい。

バーハンドルはライダーの上体が直立か軽い前傾になるので、自然な体勢で長時間のツーリングでも疲れにくいという利点があります。

 

・低速バランス系の操作がしやすい。

ライダーの上体が自然な体勢になるので、低速でハンドルを切ってバランスをとる操作がしやすくなります。

街中ではUターンがしやすいという効果があるほか、スライドコントロールやフルロック回転、オフセットスラロームなどがしやすくなります。

モトクロッサーやジムカーナバイク、エクストリームバイクが揃ってバーハンである理由はこれにあります。

 

・高速走行時の空気抵抗はかわしにくい。

バーハンの最大の弱点が高速走行における風圧です。

ライダーの上体が起きているので、どうしても走行風の抵抗を受けやすく高速走行での疲労の原因になってしまいます。

本格的なフルカウルツアラーならば、大きなカウルを備えているのでライダーは風圧を受けませんが、その分バイク自体が風圧を受けるので走行抵抗は小さくなりません。

 

 

・セパレートハンドルがライディングに与える影響は?

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・前傾姿勢を維持することで空気抵抗をかわしやすい。

セパレートハンドルはライダーが上体を伏せた体勢を維持しやすいので空気抵抗をかわしやすくなります。

スーパースポーツ系のバイクが揃って低いセパレートハンドルとコンパクトなカウルを備えているのは、ライダーが受ける風圧とバイクの走行抵抗としての風圧を同時に低減させる効果を狙ってのものです。

空気抵抗は速度の二乗に比例して大きくなるので、バイクの速度が上がるほどセパハンとカウルの恩恵は大きくなります。

  

ハングオフコーナリングしやすい。

サーキット走行のコーナリングでは、バイクの旋回力を限界まで引き出すためにライダーの姿勢は大きく腰をずらすハングオフスタイルになります。

このときにハンドルの位置が高いと、旋回内側に移動している身体に対して手だけが高いところに残される不自然な体勢になってしまいます。

セパハンであればより自然な体勢で旋回できるようになり、さらに上体をインに入れて旋回力を高めることができます。

 

・低速バランス系の操作は苦手。

前傾姿勢のまま低速でハンドルを切る操作を行うと、上体が不自然に捻らられるかたちになるためバランスが取りにくくなります。

慣れれば不可能ではありませんが、上体の自由度が高いバーハンの方が楽にできます。

また、スーパースポーツセパハンは特に低いので目一杯ハンドルを切ると内側の手がハンドルとタンクの間に挟まるという問題が起こりやすいです。

これは、予めハンドルを握り直して曲がることで対応できますが、面倒なことには変わりありません。

 

・長時間の運転は疲れやすい。

低いセパレートハンドルでは、ライダーは否応なく前傾姿勢を続けることになるため長時間運転していると身体が疲れてしまいます。

疲れ具合には慣れや個人差がありますが、スーパースポーツでツーリングする場合は休憩を増やす、信号待ちを利用して上体のストレッチをするなど工夫が必要になるでしょう。

 

・フロントに荷重がかかりやすくなる。

セパハンだと自然とライダーの体勢が前傾になり、荷重配分がフロントに移りやすくなります。

フロントに荷重が乗ると、フロントフォークが縮み前輪のグリップが増しコーナリングがしやすくなります。

ただし、これはバーハンでもライダーが伏せれば同じ効果があるし、順序としては車体の構成やセッティングが先になるので副次的な効果であると思います。

 

・転倒した時は引き起こしにくい。

セパハンのバイクが転倒すると、ハンドルが低い位置にあるためバイクの引き起こしが重くなります。

転倒したバイクは、タイヤ→支点 重心→作用点 ハンドル→力点 の関係になり、ハンドルが低いと、力点と作用点の距離が近くなるため重くなるわけです。

特にスーパースポーツタイプのバイクは、倒れるとハンドルが低い上に車体がスリムでべったり横倒しになるので、軽量なはずなのに引き起こしは意外と重いです。

 

・ハンドルの幅の広さが与える影響は?

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幅の広いハンドルはライダーがハンドル入力を行う際に少ない力で済み、舵角のコントロールもしやすいという利点があります。

その代わり、腕の動きが大きくなりハンドルを切った時に外側の腕が伸び切りやすい、腕を開くため空気抵抗が増す、といった欠点もあります。

オフロードバイクは凸凹道や砂利道でハンドルを切って進んだりバランスを取るために幅の広いハンドルを備えていますが、スーパースポーツは空気抵抗を減らしハングオフの体勢が取りやすいように幅の狭いハンドルを備えています。

ちなみに幅の広いハンドルは転倒の際に車体を守るガードの役割をしますが、ハンドル自体は曲がりやすくなります。

 

・レーシングハンドルの効果

セパハンの中にはレース向けの製品も存在し、公道向けのハンドルよりも転倒した時に折れやすくなっています。

サーキット走行では激しい転倒もあるわけですが、レーシングハンドルはハンドルバーが先に折れてくれることで車体(Fフォーク、ステアリングステム、フレーム等)へのダメージを最小限にする役割を持っています。

もし、ハンドルバーが頑丈で折れないならば、転倒の打撃エネルギーはハンドルをテコとして車体に伝わる事になり、車体へのダメージが深刻化する結果となります。

ハンドルバーは単品で1000~2000円くらいで購入できるので、消耗品として割り切るわけです。

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↑ ベビーフェイス製 レースコンセプトハンドル

絶妙な強度設計が車体を深刻なダメージから守る。

公道で使用しても同じ効果がありますが、逆に簡単に折れてあっさり走行不能になる可能性もあり、しかもミラーやウィンカーのダメージはむしろ増してしまいます。

軽いので予備のパーツを用意しておけば問題ありませんが一長一短でしょうか。

 

・ハンドル交換の注意点

ハンドルはカスタムパーツも販売されており、デザインやライディングポジションの好みに合わせて変えることができます。

しかし、ハンドルカスタムを行うに当たって、いくつかの注意点があります。

 

・車体への干渉

バーハンドルのバイクにセパハンを装着したときに起きやすい問題として、ハンドルを切った時にハンドルとタンクの間が極端に狭くなる、または接触してしまうということがあります。

こうなるとUターン時に内側の手が挟まってしまって転倒の原因になるので危険です。

セパハンのバイクにバーハンを装着する場合は、トップブリッジの交換や加工が必要なだけではなく、フロントカウルと干渉してしまうことが多くあります。

その場合はフロントカウルを加工(削る)する必要があります。

 

・ホースとケーブルの取り回し

ハンドル周りにはブレーキホースやクラッチケーブルが配線されています。

純正でもある程度の余裕があるので、ハンドル位置を多少変更しても問題ありませんが、大きく変える場合はホースやケーブルも併せて交換する必要があります。

ホースやケーブルを変えずにハンドル位置を高くしたり手前に引くと、突っ張ってブレーキ液が漏れる、ハンドルを切った時に勝手にアクセルが回る、ハンドルが切れない、といったトラブルが発生します。

逆にハンドルを低くすると、ホースやケーブルが余ってしまいハンドルを切った時にどこかに挟まる、擦れるなどして走行中に破損する危険があります。

ブレーキホースをステンメッシュ製にすると破損を防止できるが、基本はホースとケーブルは適正な長さにして配線に気を使う必要があります。

 

・前後の荷重の変化

ハンドル位置を高くしたり手前に引くとライダーの上体が起きるので、その分フロントの荷重が減りやすくなります。

フロントの荷重が不足すると、前輪のグリップや接地感が弱い、曲がり方が弱い、といった問題が発生しやすくなります。

逆にハンドルを低くすると、前輪のグリップや接地感はよくなりますが、前輪が切れ込む、後輪の荷重が不足しやすくなる、といった問題が発生しやすくなります。

もちろん、結果的にそれで丁度良くなったということもありますが、不安を感じる場合はサスペンションのセッティングを見直す必要があります。

 

・振動

ハンドルを変えるとハンドル重量も変わるので振動のしかたが変わります。

特に共振点の変化で振動が激しくなった場合は面倒で、ハンドルバーエンドやインナーウェイトを装着して対策を試みる必要があります。

ハンドルバーエンドを重いものに交換すると振動の周波数が低くなり、インナーウェイトを装着した場合は振動そのものを減衰させる効果があります。

 

また、バーハンドルのバイクはマウント部分にゴムパーツを挟んで振動を軽減しているものが多いです。

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 車体からハンドルに伝わる振動を軽減する代わりに、転倒した時にゴムが捻じれてハンドルバーがずれる場合がある、ハンドルの剛性感がやや弱くなる、といった欠点もあります。

そのため、ワッシャーか何かを適当に噛ませてゴムを取り外す人もいます。

 

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