今回の主題はCB250Rのリアサスペンションのセッティング(調整)についてです。
CB250Rのリアサスペンションはプリロード調整しかないので、プリロード調整のみの記事になります。
ちなみにプリロードはイニシャルとも呼ばれますが意味は同じです。
なお、当記事のCB250Rは2018年式です、2019年式からサスの設定が変更されているのでご了承ください。
- 【純正リアショックの諸元】
- 【リアサスペンションはどうやって調整するの?】
- 【体重に合わせてプリロードを調整する】
- 【好みのハンドリングに合わせてプリロードを調整してみる】
- 【リアショックを交換すると調整範囲が広がる】
- 【最後に…】
【純正リアショックの諸元】
システム・・・リンクレス式、モノショックタイプ
調整機構・・・プリロード調整のみ カム式/7段(初期設定は最弱から2段目)
バネ定数・・・208N/mm
ホイールトラベル・・・110mm
価格・・・¥35,200
【リアサスペンションはどうやって調整するの?】
CB250Rのリアショックは「カム式」なのでカム式の調整方法を紹介します。
工具は下の画像の「ピンスパナ」(フックレンチともいう)を用意します。
↑ 上がアサヒ製の汎用品(1750円)で、下がバイクに付属している車載工具(750円)です。
正直、使い勝手は大して違わないので安い車載工具で良いと思います。
↑ CB250Rの車体左側からプリロードを掛ける(締める、強める)方向でピンスパナを掛けたところです。ピンスパナを押し下げてカムを回すとバネが締め上げられていきます。
画像のプリロードは【4】段目(黄矢印)で、【7】段目(緑矢印)まで回すと最強になります。
プリロードを緩める(抜く、弱める)場合はピンスパナを逆方向にかけて上に押し上げます。
※タンデムステップは邪魔なので6mmの六角棒レンチを使って取り外した方が作業がしやすいです。
【体重に合わせてプリロードを調整する】
CB250Rのリアのプリロードの初期設定値は最弱から2段目になっており、想定体重は55kg(一人乗り)です。
これは体重が55kgのライダーが一人で跨った時にリアサスが1/3程度縮み、車体姿勢的にもメーカーが想定したハンドリング特性になることを意味しています。
※実際に55kgの私が跨って計測したところ、ホイールトラベル(110mm)に対して38mm前後の縮み量だったので約1/3の位置となりました。
しかし体重は人それぞれ違うので、プリロードが初期設定値のままではリアサスが十分な働きをしなくなることがあります。
例えば、55kgより軽い人が乗るとリアサスの動きが小さくなるので衝撃吸収性が良くない、車体姿勢がリア上がりになることでハンドリングが落ち着かない、足つきが良くない、といった問題を感じる場合があります。
逆に55kgより重い人が乗るとリアサスの動きが大きくなり過ぎ底付きしやすくなる、車体姿勢がリア下がりになることでハンドリングが悪く気持ちよく曲がれない、前輪の接地感が乏しい、といった問題を感じる場合があります。
リアサスのプリロードを自分の体重に合わせて調整することで問題を解決することができます。
計測結果から、体重別の適正プリロード値を割り出しましたので下に記載しておきます。
50kg・・・プリロード【1】
55kg・・・プリロード【2】
60kg・・・プリロード【3】
65kg・・・プリロード【4】
70kg・・・プリロード【5】
75kg・・・プリロード【6】
80kg・・・プリロード【7】
85kg超・・バネをレートの高いものに交換した方がいいかも…
後部座席に荷物や人を載せた場合も、プリロードを掛けることでバランスを補正することができます。
【好みのハンドリングに合わせてプリロードを調整してみる】
・プリロードを掛けてスポーティなハンドリングにしてみる
体重に合わせて設定した基準プリロード値から敢えて更にプリロードを掛ける(段数を上げる)ことでハンドリングをスポーティな味付けにすることが出来ます。
リアのプリロードを掛けるとリアの車高が上がり、相対的にフロントが低くなります。
それに伴ってフロントのキャスター角が小さくなりトレール量が減ることで、ステアリングの応答が鋭くなり強く曲がるように感じられるようになります。
また、リア車高が上がることでステップの位置も上がるため、より深く倒し込めるようになります。
前輪のグリップが得やすくなる効果もあるので、いつもよりスポーティに走ってみたい時に試してみると良いでしょう。
なお、バイクの不安定感が増して倒し込みにくくなったり低速ターンでステアリングが切れ込みやすくなる、後輪のグリップがやや抜けやすくなるといった可能性もあるので気を付けてください。
・プリロードを抜いてゆったりしたハンドリングにしてみる
プリロードを掛けた場合と逆の理屈になります。
リアの車高が下がり、相対的にフロントが上がります。
フロントのキャスター角が大きくなりトレール量が増えることで、ステアリングの応答が穏やかになり緩やかに曲がるように感じられるようになります。
また、リアの車高が下がるので後輪のグリップが得やすくなる、少しだけ足つきが良くなる効果もあります。
ゆったり走りたい時に試してみましょう。
・タイヤ交換に合わせてプリロード調整する
CB250Rのメーカー指定タイヤはダンロップのGPR-300Mですが、別の銘柄や別サイズのタイヤに履き替えるとハンドリングや前後の接地感も変化します。
タイヤ履き替え後の変化が良好なものならばそのままで良いですが、よろしくない場合はリアのプリロードを調整することで、ある程度の範囲で補正する事ができます。
タイヤ交換後に走ってみて、ステアリングの切れ込みを感じるならリアのプリロードを緩めてみる。
前輪の接地感不足やステアリングの応答に鈍さを感じるならプリロードを掛けてみましょう
【リアショックを交換すると調整範囲が広がる】
純正のリアショックの調整機能はプリロードのみですが、サスペンションメーカーから出ているリプレイス品に交換することで、作動性の向上だけでなく調整機能の拡張も可能になります。
現在のところナイトロンとYSSから出ています。
性能で選ぶならナイトロンだが、価格的に手が出しやすいのはYSSだろう。
・ナイトロン
ナイトロンからは3つのグレートが出ている、オーダーすればローダウン仕様も可能で足つきを30mm改善できる。
・YSS
YSS製を購入する場合はCB300R用の流用となる。
※CB250RとCB300Rは車体が共通なので装着に問題はない。
【最後に…】
今回はリアサスのプリロード調整について書きましたが、実際には調整などしていなくても問題なく乗っているというライダーはたくさんいます。
よほど平均体重から外れた人でない限りプリロードが合ってなくても特段に乗りにくくなるといった事はないので、サスのセッティングなどしなくても普通にバイクに乗る事は出来ます。
しかし、やはり自分に合うようにセッティングされたバイクとそうでないバイクを乗り比べれば、確かにライディングの質(楽しさや安全性)に相応の差があるのは事実なのです。
今回の記事がCB250Rに乗る楽しさの発見に役立てばうれしく思います。