ホンダ「CB250R」を10倍たのしむブログ

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自分でトルクレンチの誤差を点検する方法

車やバイクの整備に欠かせない工具の一つであるトルクレンチ。

トルクレンチがあるおかげで、誰でもボルトを適正なトルクで締める事ができます。

しかし、トルクレンチも使い込んでいたり、保管の方法が悪いと精度に狂いが生じてしまいます。

整備中に「このトルクレンチ、ずっと使ってるけどまだ大丈夫かな?」と不安を感じても、買い替えやメーカーへの校正依頼はお金がかかるし、とは言えそのまま使い続けるのも心配ですよね。

という事で、今回はトルクレンチの誤差を簡易的にチェックする方法を紹介します。

 

用意するもの

  • トルクレンチとソケット
  • 吊り下げ式バネばかり(ひょう量20kgほど)
  • 結束バンド(幅5mm程度のもの)、ビニールひも等でもよい。

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↑ 10年ほど前に買ったアストロプロダクツ製のトルクレンチです、値段は3000円くらいだったと思います。

あまり使っていませんが湿気の多い場所に置いていたため回転軸の部分が錆びています。

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↑ デジタル吊りばかり(高森コーキ製 ¥1,800)

アナログ式でも構わないが、デジタル式の方が使いやすい。

このようなはかりは重さのわかっているものを吊るすことで精度の確認ができます。

 

点検の方法

↑ まず、点検に使う設定トルクを適当に決めます。

今回は30N・m を指定して試してみます。

 

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↑ 指定のトルクを決めて(今回は30N・m)合わせたら、次にトルクレンチの回転軸と力点の距離を正確に測ります。

この距離をレンチの距離とします。

※トルクレンチの力点には通常何かしらの目印があります。この製品の場合は滑り止め加工が途切れている線のような部分です。

 

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レンチの距離がわかったら、↑ の計算式から指定トルクに対応する力を計算しましょう。

今回の指定トルクは30N・m、レンチの距離は29.5cmですね。

結果は…

 

30N・mのトルクをかけるのに必要な力

                                           

(100÷29.5)×30×0.1=10.2kg

 

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↑ 必要な力の計算が済んだら、次は画像のようにリアのアクスルナットに上向きにトルクレンチとバネばかりを配置します。

バネばかりとトルクレンチの力点の目印部分を結束バンドやビニールひも等を使って結びます。結束バンドを使う場合は切れないようになるべく太いものを使用してください。

バイクが動かないように、ギアは 1速に入れておくとよいでしょう。

 

※リアのアクスルを使うのはここのナットが大トルクで締められているからです。

大トルクで締められているボルトナットならどこの何でも良いのですが、これから行うテストで締め過ぎて壊さないように気を付けてください。

つまり、点検に使うトルクはリアアクスルナットの締め付けトルク以下にする必要があります。

 

 

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↑ バネばかりを回転軸に対して直角になるようにして引きます。

トルクレンチの設定トルク(今回は30N・m)に達するとトルクレンチの首がカクッと折れますので、折れた時点のバネばかりの数値を確認します。

この時のバネばかりの数値が10.2kgならばトルクレンチの精度は正確となります。

 

ちなみに今回のテストの結果は10.4kgでした。

+2%の誤差なので実用上問題はなさそうです。

安価なトルクレンチだし錆びてるので狂っているだろうと予想していたので、今回の結果は意外でした!

 

念のため、設定トルク 20N・m40N・mも、それぞれ試してみました。

結果は以下の通りで、十分満足できる数値となりました。

 

20N・mの計算値6.8kgに対して、実測値7.0kg

40N・mの計算値13.7kgに対して、実測値13.7kg

 

もちろん、メーカーに校正に出すのが一番良いわけですが、狂っていないトルクレンチを出してしまうのはお金がもったいないですよね。

メーカーに依頼する前に、このような簡易的な方法で自分で確認することもできるので試してみてください。

 

 

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