今回はドライブチェーンの伸び(摩耗)の点検方法を紹介します。
【目次】
【チェーンが伸びる、とはどういう事?】
チェーンのメンテナンスを怠るとチェーンが早く伸びる、とよく言われますが、チェーンは金属製なのでゴムのように伸びるわけではありません。
正確に言うと、チェーンのピンとブシュといわれる部品が摩擦ですり減って隙間が大きくなるわけです。
(DIDチェーン公式サイトより)
ピンとブシュが摩耗して隙間が大きくなると、結果的にチェーンの全長が長くなるので「伸びる」と言われるわけですね。
チェーンが摩耗するとスプロケットとの噛み合わせに不具合が生じるので、加減速での操作性の悪化、振動や異音の発生、チェーンやスプロケットの破損、などの問題が発生します。
ドライブチェーンの伸びの許容範囲はシールチェーンで1%、ノンシールチェーンは1.5%です。
【チェーンチェッカーを使った点検方法】
チェーンチェッカーを使った伸び率の測定方法を説明します。
↑ DRC製の「チェーンチェッカー」(¥1,650)です。
簡単にチェーンの伸びのチェックができる優れモノです。
↑ チェーンをピンと張った状態でチェッカーを画像のようにはめます。
チェーンが伸びていなければ、上の画像のようにピタッときれいにはまります。
一か所だけではなく、3~4カ所で測定しましょう。
複数箇所のうち、1カ所だけでもきれいにはまらなかったら偏伸びです。
※偏伸び=チェーンの全周が均等に摩耗せず、一部だけ摩耗が進んだ状態。
↑ 摩耗して伸びたチェーンにはめると、このようになります。
右端の目盛りが1%付近まできているので、このチェーンは既に使用限界です。
このチェッカーを使用した方法だけで、点検方法としては十分です。
【ノギスを使った点検方法】
ノギスを使うとより詳細に点検を行う事ができます。
↑ アストロプロダクツ製のデジタルノギス(¥1,250)
特定のコマ数の間の距離を測定しメモしておきます(今回は9コマの間)。
定期的に測定を行い距離が伸びれば、チェーンの伸びとなります。
今回の例では、9コマ間 137.3mmだったので、これが 138.6mmになれば1%の伸びになるので交換時期です。
この方法も測定は一か所だけでなく、複数箇所で行ってください。
1カ所だけでも数字が大きければ偏伸びです。
ちなみに、今回は4カ所で測定しましたが、結果はすべて 137.3±1mmでした。
【簡易的な偏伸びの確認方法】
1、メンテナンススタンドでリアタイヤを浮かせて、ギアをニュートラルに入れます。
2、リアタイヤを手でぐるぐる回転させます。
3、特定の箇所でチェーンが張って回転が重くなるなら偏伸びの可能性大です。
簡単にできるので、リアタイヤを浮かせる機会があったらやってみましょう。
【参考サイト】
最後にチェーンの整備とトラブルの参考になるサイトを紹介します。
【江沼チェーンのトラブルシューティング表】
http://www.enuma.co.jp/archives/001/201703/trouble_shooting.pdf