今回はチェーンメンテナンスにおける、あそびと整列(チェーンライン)の点検方法を紹介します。
【目次】
【チェーンの張り(あそび、たわみ)の調整方法】
具体的な方法は ↓ に良い記事があるので読んでください。
【チェーンのあそびが悪いと走行にどんな悪影響があるのか?】
チェーンの張りが緩くあそびが多い場合は、走行中にチェーンが脱落したりスプロケットの歯を飛び越えたりといった問題が発生しやすくなります。
特にチェーンが走行中に脱落し、スプロケットに巻き付くと重大事故になりやすいので危険です。
また、加減速がギクシャクしたり異音が発生する原因にもなります。
チェーンの張りがきつくあそびが少ない場合は、チェーン本体やバイクのエンジン内のパーツを痛める原因になります。
また、リアサスの動きを阻害する(縮まなくなる)ため、コーナリングでの接地感の悪化、倒し込みや切り返しの重さ、リアタイヤの滑り、を招きます。
エンジン内の不具合は修理費がかさみますし、リアサスの動きの阻害はスポーツ走行におけるコーナリングの楽しさを著しく損ないます。
ドライブチェーンのあそび(たわみ)は多すぎても少なすぎても、走行の安全に重大な悪影響を及ぼします。
適正なあそび量は、オンロードバイクの場合 25~40mm の間で設定されていることが多いですが、車種によって異なるので必ず車両の取扱説明書を確認してください。
【チェーンラインの整列って何?】
チェーンラインの整列とは、チェーンの方向とタイヤ&スプロケットの方向がちゃんと平行になっているかどうか?ということです。
スイングアームの後ろにあるチェーンアジャスターを左右で同じ位置にしないとチェーンの整列がずれる結果になります。
文章のみではわかりにくいので図解で説明しましょう。
↑ 左の図がチェーンラインの整列が正しい状態です。リアタイヤとチェーンの方向が水平になっているので、結果としてフロントタイヤとリアタイヤの方向も直線上に揃っています。
対して右の図はチェーンアジャスターの位置が左右でずれているために、リアタイヤとチェーンの方向も水平でなくなり、結果としてフロントタイヤとリアタイヤの方向も歪んでしまっています。
このような状態で走行を続けると、バイクがまっすぐ走らない、タイヤ・チェーン・スプロケットが偏摩耗するといった問題が発生してしまいます。
【チェーンの整列の確認方法】
バイク屋さんのなかには光学測定器で整列を出すところもありますが、個人のセルフメンテの場合は以下に紹介する方法で行います。
・専用ツールを使う。
チェーンラインの確認は目視でも出来ますが、慣れていない方は「チェーンアライメントツール」という工具を使いましょう。
↑ こちらはデイトナ製の「チェーンアライメントツール」(¥1,900)です。
↑ リアスプロケットにツール本体を取り付けて固定します。
↑ 整列に問題がなければ、チェーンとツールの棒の方向が平行になっています。
平行になっていなければ、整列不良なのでチェーンアジャスターの調整をやりなおしてください。
・チェーンのコマとスプロケットの歯の位置を確認する。
↑ スプロケットとチェーンの部分です。スプロケットの歯がチェーンの幅の中央に位置しているか確認します。
ギアをニュートラルにしてリアタイヤを回してみて、常にスプロケットの歯の位置が左右に偏っているなら整列がずれている可能性大です。
・スプロケットの偏摩耗を確認する。
↑ チェーンの整列がずれているとスプロケットの歯の側面が偏摩耗しやすくなります。
画像はバイクの左側からスプロケットを見たものですが、反対側からも見てどちらか一方がひどくすり減っているならチェーンの整列不良が疑われます。
↓ こちらは江沼チェーンのチェーントラブルシューティング表です。
http://www.enuma.co.jp/archives/001/201703/trouble_shooting.pdf
以上、ドライブチェーンのあそびと整列の点検方法でした。
バイクのパーツを長持ちさせ、気持ち良く走るために定期的にチェーンの状態を確認しましょう。