バイクのドライブチェーンが錆びてしまったので社外品に交換しました。
新たに装着したチェーンはRKチェーンの「520R-XW ブラック」
パワーの伝達、耐久性、防錆すべてにおいて純正チェーンより優れています。
今回はバイクのドライブチェーンの交換について書いていきます。
↑ 今回チェーンの交換を行ったバイクはCB250Rです。
【目次】
ドライブチェーンを交換する理由
バイクのドライブチェーンを交換する理由は大体以下の4パターンになると思います。
- ドライブチェーンが伸びて使用限界を迎えた。
- ドライブチェーンの錆びや硬直が酷くなった。
- ドライブチェーンの性能を向上させたい。
- 足回りをカッコよく見せたい。
ドライブチェーンにも寿命があります、250cc以上のバイクに使用されるシールチェーンの一般的な寿命は15,000km~20,000km、ノンシールチェーンの場合は約5,000kmです。
チェーンは使用によりピンとブシュが摩耗し全長が少しづつ伸びていき、強度の低下やスプロケットとの噛み合いの悪化を招きます。
チェーンの伸びの許容限界はシールチェーンで1%、ノンシールチェーンで1.5%となっており、それぞれ上記の距離に達したあたりで伸びの許容限界を超えるとメーカーは想定しているわけです。
しかもこれはメンテナンスが十分に行われていた場合の距離で、メンテナンスを怠るともっと早い時期に錆びや摩耗(伸び)が起きてダメになってしまいます。
↑ シールチェーンのコマを分解した画像。赤い矢印のところにある輪っかがゴム製のシールリング。
このシールリングにより内部にグリスが封入されているので、ピンはグリスに漬けられた状態になっている。
ノンシールチェーンにはこのシールリングがない。そのためマメにチェーンルブを塗布して潤滑と防錆をしなければならない(それでも寿命は短い)。
↑ 整備を怠ったために錆びてしまった純正チェーン、これはまだマシな方で更に放置するとガンガン錆びる。
ドライブチェーンが摩耗や錆びを起こすと何が起きるのか?
ドライブチェーンが摩耗や錆びを起こすと次の問題が発生します。
- チェーンの抵抗が増え加速や燃費が悪化したり異音が発生する。
- 走行中にチェーンが外れたり切れたりして事故になる。
チェーンのサビが進行するとシールリングの破損の原因になります。
シールリングが破損すると封入されているグリスが漏れてチェーンが潤滑されなくなり、ピンとブシュの摩擦抵抗が増え急激に摩耗が進行します(いわゆるチェーンが伸びた状態)。
チェーンの抵抗が増えると、加速や燃費の悪化につながります。
また、チェーンが伸びるとスプロケット(チェーンを回している歯車)と上手く噛み合わなくなり操作性が悪化したり走行中に脱落しやすくなります。
操作性の悪化は具体的に言えば、チェーンのガタの分、スロットルオンに対する後輪の駆動タイミングに遅れが生じるため加速がワンテンポ遅れたり、ショックが発生したりすることです。
そして最も起きてはならない重大な問題が走行中のチェーンの脱落です。
では、走行中のどんな時にチェーンが脱落しやすいのかというと、カーブをアクセルを開けて曲がる時なんです。。。
アクセルを開けてカーブを曲がると、チェーンには回転外側に広がろうとする遠心力と、カーブの外側に外れようとする遠心力が同時にかかり、そのためカーブを曲がっている途中に突然チェーンが落ちるのです。
ドライブチェーンの脱落のしかたには2パターンあります。
ひとつは道路にストンと素直に落ちるパターンで、こちらはバイクが進まなくなるだけなのでそれほど危険ではありません。
※コーナーを攻めている時は突然車体の安定が失われるので危険ですが。
最悪なのがフロントやリアのスプロケットに外れたチェーンが巻き込まれるパターンで、リアスプロケットにチェーンが巻き込まれるとリアタイヤが即ロックするので、即座に転倒して大事故に発展してもおかしくありません。
また、巻き込んだチェーンがスプロケットやスイングアームを激しく傷つけたり、トランスミッションを傷めるので修理代が高くつく可能性もあります。
さらにリアスプロケットに巻き付いたチェーンはリアをロックさせ続けるので、転倒したバイクを無事起こしたとしてもその場から動かせなくなってしまい、大型バイクだと引きずる事も出来ずそのまま道路上で立ち往生するはめになってしまいます。
ドライブチェーンをカスタムするメリット
もちろん、引き続きパーツリスト記載の純正チェーンに交換してもよいのですが、おすすめは高性能なリプレイスチェーンへの交換です。
ドライブチェーンは純正品とリプレイス品でそれほど大きな価格差がないわりにメリットは大きいからです。
※例えばCB250Rの場合は純正チェーン11,300円に対してリプレイスの「520R-XW ブラック」が15,000円程度です。
ただし、一部のバイクには最初から高性能なチェーンが純正として装着されていますので、その場合は問題が発生しない限りチェーンを交換する必要はないでしょう。
- メッキ加工が施されているため非常に錆びにくい。
- 走行抵抗が減り加速や燃費が良くなる。
- 耐久性が向上し長持ちする。
- 剛性が向上しスロットル操作に対する駆動の応答が良くなる。
- 純正チェーンより質感が良く色もキレイでカッコイイ。
多くの純正チェーンが錆びやすい非メッキチェーンなのに対して、メッキ処理された高性能なリプレイスチェーンはとても錆びにくいです(全く錆びないわけではないのでメンテナンスは必要です)。
また、特殊なシールリングが使われているため、走行抵抗や耐久性の上でも有利になります。
まぁ、加速や応答性に関しては体感できるかといえば微妙ですが、しかしデメリットは何もありません。
以下に主要チェーンメーカーのリプレイスチェーンを紹介しておきます。
※リプレイスチェーンには、それぞれ色のバリエーションがあり、メッキ、塗装、非メッキの違いがあります。「スチール」となっているものは非メッキなので注意してください。
RKチェーン「X-XWシリーズ」「R-XWシリーズ 」
長寿命で強度にも優れるシールチェーン ゴールド、ブラックがもっとも錆びにくい。
DiDチェーン「ZVM-Xシリーズ」「VXシリーズ」
低フリクションと寿命の向上を目指したシールチェーン ブラック、ゴールドがもっとも錆びにくい。
江沼チェーン「ThreeD スリード」
徹底した軽量化とパワーの伝達を追求したシールチェーン、ゴールドがもっとも錆びにくい。
江沼チェーン「EKシールチェーン」
色のバリエーションが豊富なシールチェーン、ゴールドがもっとも錆びにくい。
※黒、赤、青はメッキではなく塗装だが、スチールよりは錆びにくい。
RKチェーン「420/428MRU」
50~125ccバイクの純正チェーンはほとんどがノンシールタイプとなっている。
これをシールチェーンに交換することで、メンテ頻度と寿命が大幅に改善される。
レース用ドライブチェーンもあり
ドライブチェーンには走行抵抗を極力少なくしたレース専用チェーンも存在します。
サーキット走行のためにレース専用チェーンを装着するのもありでしょう。
ただし寿命が短いのがデメリットです(過酷な使用で2000km以内に交換)。
【DiDチェーン】
「520ERV7」・・・motoGPでも使用されるレース用シールチェーン、公道用のZVM-Xシリーズに比べ軽量で低フリクションだが寿命は短め。
「520ERSV」・・・250cc向けのレース用シールチェーン、公道用のVXシリーズに比べ軽量で低フリクションだが寿命は短め。
「520ERS3」・・・レース用ノンシールチェーン、520ERSVに比べさらに低フリクションだが寿命もさらに短い。ノンシールなのでマメなメンテが必要。
「415ERZ」・・・250cc向けレース用チェーンとしては最も軽量で低フリクション。装着にはスプロケットの交換が必要。ノンシールなのでマメなメンテが必要。
上記のレース専用チェーンでも条件付きで公道走行可能とされているものもあります、もっとも公道で使用する意味はほとんどないと思いますが…
また、レース用チェーンにもシールタイプとノンシールタイプがあります。
ノンシールタイプは極めて軽量低抵抗である代わりに特に耐久性がありませんので、走行毎にメンテするくらいでないとあっという間に伸びてダメになります。
詳しくは各チェーンメーカーの製品情報を読んでみましょう。
純正のチェーンサイズが530である大型バイクの場合は、上記のレース用チェーンを使用するためにはスプロケットを520用のものに換装(コンバート)する必要があります。
※純正チェーンが520である250cc以下のバイクは415への換装が可能です。
特に250cc以下のバイクはチェーンとスプロケットのサイズダウンとノンシール化によって、コーナリングの加速感や軽快感が体感できるほど変わります。
ただし、チェーンのサイズダウンは強度の低下にもなるので、詳しくない方は必ずバイクショップに相談の上おこなってください。
※今回の記事内で紹介した製品は一部です、詳細はチェーンメーカーの公式サイトを見てください。
DIDチェーン
RKチェーン
江沼チエン製作所